いびき外来とは
仙台駅周辺で「いびき」のご相談は当院へ
いびきは鼻から喉頭(のど)までの気道(上気道)に空気が通る際に生じます。健康に問題がない場合でも、アルコールの摂取や過労によっていびきが生じることがあります。
いびきというと「睡眠中の大きな音」によって、周囲の方に迷惑をかけてしまうような印象が強いと思います。しかし、いびきの問題はこの騒音だけではありません。
いびきが常習的であり、時に息が止まることがある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という疾患の可能性が考えられるため注意が必要です。またこの睡眠時無呼吸症候群は、さまざまな疾患の発症リスクを高めるというデータもあり、時に命を脅かすような危険なケースもあります。
当院では「いびき」の背景にある病気を検査診断し、適切な治療やライフスタイルの改善を図れるようにサポートいたします。家族やパートナーに指摘されたり、本ページで紹介するような自覚症状のある方は、一度当院へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に呼吸が止まる、または浅くなる病気
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)とは、睡眠中に無呼吸状態に陥ったり、呼吸が浅くなったりする状態を繰り返す病気です。
通常は鼻から入った空気がのどを通って正常に肺へ送られます。このとき、気道が狭まって空気によってのどが振動し、音が出ることがあります。これが「いびき」の正体です。
気道が完全に塞がってしまい、一定時間以上、呼吸が止まってしまう状態(無呼吸状態)になってしまうと、体にさまざまな悪影響を及ぼします。睡眠中は無意識のうちに呼吸が止まっているため、ご家族等に指摘をうけて発見されることがあります。
無呼吸状態が続くと、心臓はより酸素を全身に送り出すために拍動し、やがて血圧は上昇します。そのため、自覚症状としては、高血圧があげられる他、日中の眠気やだるさを訴えるケースが多いです。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、慢性的な低酸素血症(動脈血中の酸素が不足した状態)に陥ってしまい、心疾患や脳卒中のリスクを高めます。
睡眠時無呼吸症候群の原因
原因別による睡眠時無呼吸症候群のタイプ
睡眠時無呼吸症候群には、その発症原因から、大きく2つのタイプに分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群/OSA
肥満など(*1)が原因で舌根が沈み、上軌道が閉塞して起こるタイプです。努力呼吸(胸腹部の呼吸運動)が認められ、いびきが生じます。
睡眠時無呼吸症候群の約9割がこの閉塞性のタイプに該当します。比較的男性に多いですが、閉経後の女性にも見られます。
*1:肥満以外にも、軟口蓋低位(口の天井の骨が無く軟らかい部分が下がってしまう)や、扁桃肥大、小顎症(下あごが小さい状態)などで、上気道が塞がりやすくなってしまう場合があります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群/CSA
呼吸中枢が異常をきたし、無呼吸を繰り返すタイプです。呼吸中枢は無意識の安定した呼吸や、意識的な呼吸の制御をする役割を担っていますが、中枢性睡眠時無呼吸症候群ではその呼吸努力は認められません。
慢性心不全や脳血管障害のある人によく見られるタイプであるため、それらの病気の治療をはじめ、病気を誘発する高血圧等の基礎疾患も含めた病態の改善が必要とされます。
睡眠時無呼吸症候群の症状
仙台で日中の過度な眠気や疲労感は当院へ
主な自覚症状は、
- 熟睡感がない
- 日中、睡魔に襲われる
- 睡眠中に何度も目が覚める
- 朝起きた時に、頭痛がする
などがあげられます。
無呼吸や低呼吸によって血中酸素濃度が低下すると、脳が覚醒して呼吸が再開されます。このサイクルが繰り返されることで、睡眠の質が低下し、これらの自覚症状が現れます。
また、低酸素血症の状態が、一定の時間をおいて起こったりやんだりすると
- 不整脈
- 内分泌異常
- 夜間の交感神経優位
- 高血圧
などの病態を招きます。
そして、それが慢性化すると
- 糖尿病
- 心不全
- 脳心血管障害
など、時に命の危険につながる重篤な病気の発症リスクを高めると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群の検査診断
受診する際のポイント
「いびき」はどの診療科に相談する?
睡眠時無呼吸症候群は、内科・呼吸器科・循環器科、耳鼻咽喉科、精神神経科など、さまざまな医療機関に相談ができます。そのため、どの標榜科を受診すべきか、迷われる患者さんも多いのではないでしょうか。
選ぶ基準の1つとして、いびきの他に気になる症状がある場合、その症状の専門に相談するという考え方をおすすめいたします。
当院は主に循環器疾患を専門としています。循環器は心臓や血管に関する病気を専門とする分野です。たとえば血圧が高かったり、不整脈などの症状にお困りの方は、当院へお任せください。また、呼吸器内科・糖尿病内科としても診療をしていますので、息切れの症状や、糖尿病の持病をお持ちの方もご相談ください。
実施する問診と検査のながれ
問診・スクリーニング検査
まずは問診によって、
- 自覚症状の有無(日中の眠気の程度など)
- いびき・睡眠時無呼吸を誘発しそうな生活習慣
- 基礎疾患の有無
- 眠気尺度評価(ESS)
を確認させていただきます。
また、他の病気と判別をするためのスクリーニング検査(罹患の可能性がある方を見つけるための検査)を行います。
睡眠時無呼吸症候群の簡易式検査
睡眠時無呼吸を診断をするための簡単な検査を実施します。
これは簡易式ポリグラフとよばれ、ご自宅で簡単にチェックできる検査です。いびきや呼吸の状態をみて、その結果から睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断された患者さんは、次のステップ(精密検査)へご案内いたします。
精密検査|睡眠ポリソムノグラフ;PSG
睡眠時無呼吸症候群の精密検査には、「睡眠ポリソムノグラフ;PSG」とよばれるものがあります。睡眠時呼吸障害の最も確実な診断方法で、1泊入院して行います。
この検査では、ポリソムノグラフと呼ばれる測定器によって脳波や呼吸運動などの多数の項目を測定し、AHI(無呼吸低呼吸指数)などを出力します。
AHI(無呼吸低呼吸指数)
AHIとは「睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数」です。
【軽症】5回 ≦ AHI < 15回
【中等症】15回≦ AHI < 30回
【重症】30回 ≦ AHI
以上のような数値で、重症度を分類します。
当院内で行う検査は、簡易式ポリグラフまでとなります。
睡眠ポリソムノグラフなど入院が必要となる精密検査については、他の医療機関をご紹介させていただきます。
以上の結果を総合的に診断し、治療方針の決定を行います。
睡眠時無呼吸症候群の治療
まずは生活習慣の見直しを
軽症の場合
軽症で肥満傾向のある方は、減量して肥満を解消することが症状の改善につながります。食事療法や運動療法を実施して減量に努め、生活習慣の見直しを図りましょう。
そのほか
- 禁酒、減酒
→ 過度なアルコール摂取は、内臓脂肪増加のほか、いびきや口呼吸、鼻詰まりの原因になります。 - 禁煙
→ 喫煙するとタバコによって上気道に慢性的な炎症が起こります。禁煙するのが望ましいです。 - 不眠症対策
→ 不眠症のために睡眠薬や精神安定剤を服用されている方は、お薬の使用を見直します。
※ お薬によって、無呼吸が誘発される場合があります。
中等度以上の場合
睡眠ポリグラフで頻回の無呼吸・低呼吸が認められた場合は、CPAP(シーパップ)による治療が第一選択となります。
CPAP療法とは
仙台でCPAP(シーパップ)なら当院へ
CPAPは持続陽圧呼吸法ともよばれ、睡眠時に専用のマスクを装着し、持続的に陽圧をかけて空気を送り込む治療法です。中等度以上の患者さんは、このCPAP療法が第一選択となります。
就寝時にこの装置をつけていただくことで、無呼吸状態を回避できます。また適切に継続することで、次第に快適な睡眠をとれるようになるだけではなく、やがて睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる合併症の発症や悪化も防止することができます。
CPAP療法の注意
この治療で大切なことは、適切に使用し、長期的に継続するという点です。
効果に個人差はありますが、通常は装着開始から3ヶ月程度で、効果を実感される患者さんが多いです。中には装着後、すぐに安眠できたという方もいらっしゃいます。
一方、すぐに効果が表れないからといって治療を中断してしまったり、装着が面倒になって自己判断で止めてしまったりすると、睡眠時無呼吸による症状は悪化します。
当院へは治療開始から月1回を目安に通院していただき、データによる治療効果の確認を実施します。治療を継続するうえで不安なことや気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。